第1話では、顧客管理術を知ってもらいたくて
少し固めの話になりましたが、
今日は私のエピソードに基づいた話をしたいと思います。
夜の世界に入ったばかりの私は…。
正直言って、仕事を舐めていました。笑
自分で言うのもなんですが、
当時は若くて、ルックスにもそこそこ自信があったので、
ピチピチの新人として多くのお客様に囲まれる日々を
夢見ていました。
しかし、現実はそう甘くはありませんでした。
話しかけてもどこか避けられるし、
指名も月に数件しか入りません。
全然売り上げは立たないのに、
「痛客」に付き纏われて怖い思いをしたりと
最初の3ヶ月は自分が嫌いになりそうなほど
打ちのめされました。
若いからチヤホヤされるだろう。
学生のノリで仕事しても乗り切れるだろう。
そんな淡い期待は簡単に崩れ去りました。
ある日、店の売り上げトップの先輩、
優奈さんの周りに群がるお客様たちを見て、
彼女の「技」を知りたくなりました。
閉店後に優奈さんに勇気を振り絞って、その秘密を尋ねました。
彼女はニッコリ笑い、
「お客様はこちらの心を感じ取っているのよ」と語ってくれました。
彼女が言っていた「心」、
それはただの話術やテクニックではなく、
お客様への真心とそれに裏打ちされる自分磨きでした。
優奈さんは、お客様が前回何のブランデーを飲んでいたのか、
どんな話をしたのかを覚えており、
それを巧みに次回の会話に取り入れていました。
また覚えるだけでなく、
お客様が好きなお酒について調べたり、
好きなバンドの曲を一通り聞いたり、
歴史好きのお客様と話を合わせるため、
学生の頃ろくに勉強してこなかった武将について学習するなど
とにかく努力を欠かしませんでした。
また、彼女は自身の美容や
健康維持にも日々努力を惜しみませんでした。
最新のファッションを取り入れたり、
綺麗なネイルや髪型でお客様を魅了していました。
「若さだけで勝負してもナメられて、お客様はお金を落としてはくれない。
美を追求して、魅了するレベルまで行くことであなたにお金を払う価値が生まれるの。」
そう言われて衝撃を受けました。
私も優奈さんを見習い、
お客様の好みや話をきちんと覚え、
自分のルックスやトークスキルを磨くようになりました。
当時、自分が勉強してきたことを
とにかく早くアウトプットしたかったので、
お客様が来られるとかなり強引に、
「こないだ教えていただいた〇〇(映画の名前)、見ました!
〇〇の生涯であんなことがあったなんて…。
女の私が見ても、すごく熱中してしまいました!!」
とまくし立てたことがあり、
今では不器用で稚拙だな…と思うのですが、
お客様は不意を突かれたような顔をした後、
ガハハっと笑って、
「若菜ちゃんいいね、覚えていてくれた上に、ちゃんと観てくれて嬉しいよ!」
と言っていただけました。
その結果、そのお客様からも指名が増え、
「若菜ちゃん、いつも楽しい時間をありがとう」
という言葉を頂くことも増えてきました。
「一瞬で顧客の心を掴む方法」
それは、表面的な美しさだけでなく、
お客様を心から思いやる気持ちと、
そのための努力を惜しまない姿勢が必要だということです。
人は誰でも、興味を持ってもらえると嬉しいものです。
特に太客になりうる経営者の方々は
厳しい人生経験の中で、人間関係の本質を学んでおられます。
彼らに「面白いね」「ありがとう」と言ってもらえると、
まるで自分を認めてもらえたかのような自信も生まれます。
こういった経験は夜職を辞めることになっても絶対に生かされるので、
まずはお客様から感謝の言葉を引き出すために頑張ってみてはどうでしょうか?