夏が終わり、だんだんと寒くなってくる季節。同伴でも鍋料理を食べる機会が増えそうです。
座っていると勝手に出てくるコース料理とは違い、鍋料理は色々と気を利かせて動く必要がありますよね。
食材に火を通したり取り分けたりを、なんとなくでやっている方も多いのではないでしょうか。
店の方に任せられる店なら安心ですが、自分でしなければならない店だと緊張しますよね。
この記事では、鍋同伴でお客様をおもてなしする時のマナーについてご紹介します。
まずは来店前の準備と、取り分けの基本を知りましょう。
鍋同伴の事前準備
店に行く前に、確認しておくべきことをお伝えします。
予約の時に希望のコースを伝える
鍋料理は、ほとんどの店がコースで提供しています。
席だけ予約しても、鍋のコースの予約がなければ食べられないこともあるでしょう。
そうなるとせっかくの同伴で、お客様をがっかりさせてしまいます。必ず事前に予約し、コース内容も伝えておきましょう。
事前にお客様との相談が必要です。
店によってはその場で決めていいこともあるので、臨機応変に対応してください。
髪の毛はアップにする
髪の長い方は、鍋料理の時はアップヘアにするのがおすすめです。
取り分けようとした際に鍋や皿に髪の毛が浸かってしまったら、不衛生です。
湯気でちりちりになることも考えられるので、まとめておいた方がいいでしょう。
鍋同伴の着席時の注意
同伴で鍋を頂く時は、食べ方だけでなく着席時から気を遣う必要があります。
鍋と入り口に近い席に座る
同伴では、基本的にお客様をおもてなしする側になることがほとんどでしょう。
お客様は入口から一番遠い席(上座)に座って頂き、自分は入口に近い席(下座)に座ります。
鍋から近い場所であることも重要です。
この位置に座れば、鍋の取り分けはもちろん、足りないものを追加注文するのもスムーズです。
ただ、世話好きなお客様だと「俺が鍋奉行したい」「女の子を喜ばせたい」と張り切っている場合があります。
この場合は自分は前に出ず、お任せした方がいいかもしれませんね。
食事の準備ができているか確認
着席したら、お客様の食事の用意ができているか確認しましょう。
- 皿があるか
- 箸があるか
- おしぼりがあるか
- 飲み物があるか
用意ができていなければ、適宜対応してください。
鍋同伴の取り分けのマナー
鍋を取り分ける際にも、マナーを意識しましょう。気が利く丁寧な女性という印象を与えるチャンスです。
複数人の時は「偉い人」から
1対1ではない同伴もありますよね。
お客様が複数人いる時は「偉い人から取り分けていく」ということを意識しましょう。
会社の上司と部下がいるなら、上司から取り分ける。お客様の接待の相手がいるなら、その方から取り分ける。
誰を1番優先すべきかを考えることが重要です。
具を入れてからスープを注ぐ
取り分ける時は、先にお皿に具を入れてから、最後にお玉でスープを注ぐようにします。
もしこの順序を逆にしてしまうと、具材を入れた時にスープが跳ねてしまうかもしれません。
先に具を入れると覚えておきましょう。
好き嫌いを聞きながら取り分ける
「苦手なものはありませんか?」
「たくさん召し上がりたいものがありますか?」
などとお客様に尋ねながら取り分けてあげるのも丁寧ですね。
よりおもてなし感がアップして、お客様も満足してくれるでしょう。
野菜を下に、肉を上に
野菜やお肉・魚などはバランスよく取り分けるのが鉄則。
見た目にも美しく取り分けたいですよね。
先に野菜を取って、その上にメインとなる肉や魚類を乗せると、バランスよく美味しそうに見えます。
次は実食編です。家族で鍋を囲む時と同じ感覚でいると、恥をかく可能性があります。
目上の方との鍋の食べ方を、事前にしっかりチェックしておきましょう。
美味しい鍋の作り方
鍋の美味しい作り方を知らない方は意外と多いのではないでしょうか。
鍋って「とりあえず煮込めばOK」ではないんです!
鍋を上手に作れれば、お客様に喜んで頂けます。
1.ダシが出る食材を最初に入れる
火の強さ:強火
始めは魚介類や鶏肉、昆布など、ダシが出る食材に火を通します。
鍋のベースとなるうまみを煮出しましょう。
2.火が通りにくい食材・味が染み込む食材を入れる
火の強さ:強火
火が通りにくい食材は、長く煮なければいけませんよね。
根菜類や野菜の芯など、固くて調理に時間がかかるものは早めに鍋に入れましょう。
しらたきや木綿豆腐など、味が染み込みやすい食材は早めに入れることで、美味しく仕上がります。
3.崩れやすい食材を入れる
火の強さ:中火
次に、絹ごし豆腐やしいたけなど、崩れやすい食材を入れていきます。
強火だと鍋の中で崩れやすくなるため、中火に変えてください。
4.火が通りやすい食材を入れる
火の強さ:強火
ここで再度強火にします。
ブクブクと泡が出てきたら、牛肉や豚肉などの固くなりやすい肉類を短時間でサッと調理します。
春菊や白菜の葉の部分など、火が通りやすい野菜もこのタイミングで入れましょう。
5.火を弱める
火の強さ:弱火
肉や火が通りやすい食材を入れた後は、火を弱めます。
火が通ったものから、様々な具材をバランスよく取り分けていきます。
食材が煮えすぎると美味しくないため、クタクタになる前に取り出しましょう。
美しい鍋の食べ方
上手に調理ができたら、さっそく頂きましょう!
必ず取り箸を使う
具材を取る時は、必ず取り箸を使います。
自分の箸で食材を取るのはNGです。
家族や親しい友人との鍋だと、普通に直箸で食べますよね。
しかし、お客様や目上の方との鍋だと嫌な顔をされることがあるので気をつけてください。
うっかり普段の癖が出ないようにしたいですね。
また、箸を逆さにして取る人をよく見かけますが、これもNGマナーなので覚えておいてください。
美しく「とんすい」を使う
とんすいとは、鍋の取り皿のことです。
小皿とお椀の間くらいの大きさで、出っ張りがついています。
この出っ張りは、常に左側を向けておきましょう。出っ張りの部分に親指を掛けて持ち上げ、器全体を支えるように手を添えると美しく見えます。
レンゲを使う時は、レンゲを裏返して出っ張りの部分に引っ掻けると安定します。
鍋を食べる時は、とんすいを胸元まで持ち上げるといいですね。
食材を口に運ぶ時に左手を食べ物の下に添える動作は、一見上品に見えますがマナー違反。
手ではなく、必ずとんすいを持ち上げるようにしてください。
長い食材は切る・折りたたむ
葉や茎が長い葉物野菜って食べにくいですよね。だからといって麺類のようにすすってしまうのは美しくありません。
お皿の中で、口に入るサイズに小さく折りたたむか、箸で切って食べやすくしましょう。
こうすれば上品に口に運ぶことができますし、汁も飛び散りません。
一度とった食材は元に戻さない
家族や友人と鍋を囲む時「まだ火が通ってなかった~」「この野菜嫌い~」と食材を鍋に戻すことがありませんか?
親しい間柄なら許されますが、同伴でこれをやってはいけません。
これは「そら箸」と呼ばれるNGマナー。
お客様は不快に思ってしまうでしょう。
鍋はかき混ぜない
お客様に鍋を取り分ける時に特に注意して頂きたいのですが、鍋をかき混ぜないようにしましょう。
具材を探す時に、無意識のうちにやってしまいがちです。
豆腐などが崩れると見た目もよくありません。
食材を取る時は、鍋をかき回さないようにそっと取るようにしてください。
まとめ
いかがでしたでしょか?
同伴において、取り囲むことが多い鍋料理。しかし、そこには意外と知らない方も多いルールやマナーが存在しているのです。
経験豊富なお客様が多い夜の世界だからこそ、女性のふとした仕草や、マナーを見ている男性がいるのも事実です。
ぜひ、鍋料理のマナーをマスターして見てくださいね。